研究論文

画像処理による噴流拡散火炎の乱れ構造の解析(可視化学会)

槌野文博(鹿児島大院)、矢野利明(鹿児島大)、鳥居修一(鹿児島大)、飯野直子(鹿児島大)
Kagoshima University ,1-21-40 , Korimoto ,Kagoshima ,890

はじめに

噴流拡散火災を高速度ビデオカメラで撮影し、画像処理を行うことによって、RGBの数値情報を有するカラー静止画像をもとにした噴流拡散火災の研究が報告されている (1)。この数値化された静止画像を用いる方法は、今日の可視化計測分野では主流となっている(2)。
しかし、これらの手法は、計測対象とする範囲を決める際に、ビデオを再生してモニターで確認するという処理を伴い、対象とする静止画像を選定するには多くの時間を必要とする。
そこで、この静止画像を自由に分析・加工・保存・蓄積できるソフトウェアを開発し、従来より我々の研究室にて撮影されていた噴流拡散火災の時系列静止画像に適用し、これを動画にすることによって、パソコン上のみで火災挙動を観察することができるようにした。
したがって、ビデオテープや写真フィルムよりの画像処理は1度でよく、この過程での計測範囲決定の作業が軽減される。すなわち、計測対象画像は、動画もしくは静止画像のデータベースを使用して容易に特定できることが可能になった。
本研究では、このソフトを用いて輝炎の発生と消滅の挙動、噴流拡散火炎の乱れ特性を追跡した。

途中省略
結論

噴流拡散火炎を撮影した高速度ビデオカメラの画像により、静止画像と10進テキスト形式の画素情報および静止画像を貼り付けた動画をパソコン上にデータベースとして構築できた。
その結果、以下のような知見を得ることができた。

  1. 噴流拡散火炎の層流火炎では、ノズル近傍で輝炎は同一の輝度と形状を保持するが乱流火炎では、輝炎は発生と消滅およびその下流方向の移動特性に規則性がある。
  2. 層流拡散火炎、乱流拡散火炎ともに、火炎中央より火炎終端領域においては、周囲空気の巻き込み渦の影響を受ける。特に、乱流拡散火炎  では、塊状火炎が発生し、主流とは別のゆっくりとした移動速度で火炎が保持され、やがて消滅することが観察された。
  3. 市販の動画処理ソフトを用いて、パソコン上で擬似火炎を作成し、繰り返し再生を行うことができ、録音テープの消耗、破損を防止するこ  とができた。また、動画より、特定の静止画像の検索も可能になった。

参考文献

(1) 則武、矢野、鳥居、可視化情報学会誌、VOL.15 SUPPL.No.2(1995),PP63-66
(2) 日本機会学会、講習会教材、画像処理を用いた流れの速度場の測定、NO.96-14(1996)
(3) H.C.HOTTEL and W.R.HAWTHORNE,3nd Inter,Symp,on Combustion,(1949),pp.254-266